結婚とは

  最近結婚式は大々的にはやらずに、ハワイなんかに出かけてこじんまりとやる人が増えているじゃないですか。
 僕はこれってとても良い傾向だと思うんですよ。

 まずは友人の立場としてみれば、せっかくの休日に堅苦しい場所まで呼び出された挙げ句退屈なものを見せられてなおかつ何万円も金銭を要求されるような、そんな「他人の披露宴」というイベントなんてもうまっぴらごめんなわけですよ。
 日曜の昼といえば万波奈穂ちゃんが司会を務めるNHK囲碁トーナメントが放送されているわけですから、そんな大事な時にくだらない友人の仲良しセレモニーに参加させられるなんて冗談じゃないのです。

 僕はといえば、友人のためならいくらでもひと肌脱ぎますし、友情のためなら命を捧げてもいいと普段から思っているくらいの熱血漢なので、上に書いたようなことはゆめゆめ思ったりしないわけですが、世の中の大多数の人というのはそういうような感想を持っているんじゃないかと思うわけですよ。
 新郎新婦の、子ども時代からの成長の軌跡や出会いのエピソードの動画などを昼間っから見せられて楽しいですか? 貴重な日曜にわざわざ呼び出されて。そんなものよりNHK囲碁トーナメントもしくは録画しておいた「朝まで生テレビ」を見た方がよっぽどおもしろいしためになります。

 僕は常識ある社会人として、仮に招待客として大事な友人や関係者を招いたならば、その大事な人たちに自己満足でしかない新郎新婦の出会いのエピソード映像その他もろもろを見せるような失礼なことはすべきではないと思っています。自分だったら、絶対にそんなことはしません。
 他人の気持ちを察してあげられる思いやりのある人であれば、ご祝儀を出してくれる人たちに対してエピソード映像のようなつまらないものを見せるような、恩を仇で返すような所行は許されるものではないと思います。
 …………。
 なーんちゃってね!!
 今のは冗談でーす。実は、そんなこと本当は思っていないのでしたー!!
 僕がそんな薄情なことを考える人間だと思ってしまったそこのあなた。見事にひっかかりましたね? 僕は無邪気だから、思ってもいないことをブログに書いて読者のみなさんを騙しちゃおういう企画を自分で勝手に行うことがあるのでーす。そんなふうに披露宴の悪口を言うのは僕の本心からではないよー!

 僕が10年ほど前に披露宴会場で働いていた時は、会場までウェディングケーキを運ぶ際に毎回ケーキが乗っている台車をひっくり返して全てを台無しにしてやりたい衝動にかられて、そんな自分を抑えるのに必死でした。

 つまり、そのような心身共に手間のかかる友人の結婚式も、ハワイで身内だけで挙式を行ってくれれば参加する義務はなくなりこちらとしてはいつも通りの平和な日曜が過ごせるわけです。無駄な出費も必用なし。

 一方、新郎新婦側にもお金がかからないというメリットと、なによりも「身内だけでやります」という言い訳がついているので友達が少なくても傷つくことはないという利点があります。
 もしもしっかりした結婚式場で披露宴を開催してしまったら。それなのに招待状をバラ撒いても誰も来てくれなかったとしたら。僕なんかは大いにそのパターンにはまる可能性が高いわけです。きっと当日参列者のみなさまにドタキャンされて、奥さんである新婦側はともかく僕の方の新郎側招待席には人っ子1人おらず、ただ両親だけが高砂から遠く離れた後方の親族席で寂しげに友達のいない息子を見守ることになるでしょう。みじめな門出です。

 というようなそんな悲劇を避けるためにも、「ハワイで身内だけで挙式」という形は理想的なのです。式を挙げる者にとっても、友人にとっても、それがベストな形です。披露宴なんていらないよ。
 なお、小さい頃から毎週のように遊んでいた僕のイトコ(女)がやはりハワイで身内だけの挙式を行ったのですが、その際に僕は呼ばれませんでした。身内だと思っていたのは僕の方だけだったようですね(笑)。