寝る時間について

 ここ何年も、ずっと困っていることがあります。
 それは、1日がおよそ25時間だということです。
 そもそも、元々は人間の体内時計というのは1日が25時間だそうですね。地球の自転とは1時間ずれています。なので生活サイクルも1日1時間ずつずれていくはずなのですが、たいていの人は毎日会社に行くため決まった時間に起きて、子どもは毎日学校に行くために起きて、主婦の人も朝ごはんを作るために起きます。だから毎日の生活時間が変わらないのです。休日に少しずれても、また会社や学校が始まれば元に戻ります。
 ところがそれが、無職のニートのひきこもりともなると、どんどん寝る時間がずれて昼夜逆転してしまいます。

 そして、僕が困っているのは、僕もそのパターンに陥ってしまっていて、どんどん生活時間帯がずれていってしまっているということです。
 僕は一応無職というわけではなく自営業なんですが、なにしろ仕事をする時間を決める必要がなく、早起きする必要もありません。むしろ、「眠いけどがんばって起きる」という、早起きが僕の場合は禁止で、眠い限りは寝続けなきゃいけないのです。起きている時も、眠くなったら「眠いけど我慢してがんばって仕事をする」というのが禁止なんです。眠くなったら、必ず昼寝をするようにしています。それがさくら剛の重要な方針なんです。
 なぜかというと、眠いまま仕事をしても最大のパフォーマンスが出せないからです。よく作家というと長い時間寝ないで、徹夜して原稿を書いているというイメージを持たれることがありますが、僕に限っては全く逆で、あくまで個人的な考えなんですけど、眠いのに我慢しながらがんばっても、他のプロの作家さんと戦える文章なんか書けないと思っています。
 もともと他の作家さんは多くの作家志望の人々の中から選ばれた、限られた才能のあるエリートです。そのエリート作家さんたちに同じ書店という土俵で戦いを挑まなければいけないのに、眠い時に書いた原稿なんかで勝てるわけがありません! 眠くなったら思う存分寝て、その後でまったく眠くなく100%の集中力を発揮できる状態で作った文章で勝負をしなければ到底出版界のサバイバルを勝ち抜くことなんてできないのです。
 みなさんが本を読む時に、同じ著者だとしたら、眠いけど我慢してぼーっとした頭で書いた本と、たくさん寝て頭がクリアーな時に書いた本、どちらを読みたいですか? どちらの本にならお金を払ってもいいと思いますか?
 寝てなくて眠いけどがんばって働いているパイロットと、寝たいだけ寝て気力充実のパイロット、どちらのパイロットの操縦する飛行機に乗りたいですか?

 しかし、そこで困っているのです。寝られるだけ寝るという方針を守っている結果、僕は起床時間が毎日少しずつずれていくんです。本来の人間の体内時計どおり、1日が25時間なのです。朝起きる時もあるし、しばらくすると昼に起きるようになり、やがて夕方になり、そして夜に起きるようになりまたしばらくすると朝起きる生活に戻ります。
 でもこういうぐるぐる回る生活パターンが本当にイヤなんです。ちゃんと毎日朝起きるようになりたい。友人の話を聞いていると、同じくらいの年齢では、特に出勤などの予定がなくても、朝早い時間に自然に目が覚めてもっと寝たいとも思わない、という人も何人かいます。それがうらやましくてたまりません。
 みなさん僕がそういう「自然に朝になると目が覚める人」になるために、なにか「こうしたらいい」というアドバイスをください。お助けください。お金を払って薬を飲んだり、クリニックのようなところに通うこともいといません。なんとかこの性質を治したいんです。マジです。困っています。コマル大王なんです。大王に暖かい手をさしのべてください。