一个日本宅男・佐久良刚

 一个日本宅男の佐久良刚といえば誰のことでしょう?
 そう、佐久良さんのことです。有名なサクリョウさんですね。
 つまり、こういうことです。一个日本宅男の佐久良刚による、三国志遺跡を巡り中国を放浪した旅行記「三国志男」が、本土中国で発売されたということです。
 そういえば放送内で言いましたねこれ。放送内で言ったとなれば今さらなにも驚くことはないですね。

 概要をご覧になりたい方がいらっしゃいましたら、こちらの中国版amazonページをどうぞ。言葉が理解できませんけど。
 amazonページをよく見てみると日本の本がすごくたくさん翻訳出版されておりますので、今さら中国でサクリョウさんの本が出るということは取り立てて驚くことではないようですが、僕が個人的に驚いたのはたかぎなおこさんのコミックエッセイが中国でバカ売れしているということです。
 日本では全部ひらがなのたかぎなおこさん。中国では漢字で高木直子さんとなっていますが、まあそもそも日本でも有名作家さんですし売れること自体は当然だとは思います。ただしかし、高木直子さんの「一个人的美食之旅」なんていうシリーズがまた中国でバカ売れしており、100万部以上売れている模様。帯に書いてあります。
 他にも高木さんは10種類くらいの著作が帯に「100万冊突破!」と書かれていて、シャレにならないくらい多くの中国の人たちが読んでいるのがわかりますがなにしろ特に「一个人的美食之旅」。
 この本は、オリジナルのタイトルが「愛しのローカルごはん旅」というもので、日本の地方のグルメを紹介するものなのです。中国で、日本のローカルごはんを紹介した本が100万部売れているっていうのは驚きじゃないですか?
 100万部というのは、世の中の文章が一定以上上手で運が良い人たちが集まった作家の世界でさらに神のご加護があってミラクルを発生させ、メディアに大注目された奇跡の人しか達成できない数字です。たとえば逆に、日本で中国のローカルフードを特集したコミックエッセイを発売して、何万部も売れるでしょうか? いや、売れません。断言できます。売れません。中国のローカルフードを特集した本は、日本では1万部売れてもまぐれではないでしょうか。まず黒字を出せそうな予感がしません。それが、中国の人たちは日本のローカルフードの本を100万人以上も買っている……。

 中国は人口が日本の10倍なので本の部数も10倍は売れるのが当たり前ではないか、という考えが頭をよぎるかもしれませんが、そんな考えを頭によぎらせてはいけません。
 これは僕の経験と予測なので正しくはないかもしれないですが、僕の意見としては、中国の人たちの中で趣味で本を買うような人の割合は、日本の10分の1くらいじゃないだろうかという感覚があるのです。日本では、だいたい物心つけば全員が本を読むということをするじゃないですか。自分で本屋にも行くでしょう。しかし、中国の特に地方では、娯楽で本屋に行って本を買ってきて読んだりしている場合ではない水準の暮らしを送っている人がかなりたくさんいたように感じるのです。地方というのは都会じゃないところなので、中国全土の大半が地方ですね。あくまで個人的な意見ですし。ここ数年はまた変わっているのかもしれませんが。
 でもそう考えると本を買う可能性がある人の数は日本とたいして変わらないですし、そうすると100万部売る難しさも日本と中国で差が無いのではないかと思ってしまうのですが、それで日本のローカルごはん旅を中国でバカ売りしてしまうというのは、たかぎさんもすごいですし翻訳と営業をしている中国の出版社もすごいと思いますし、日本のことが嫌いだったら日本のグルメ本なんて買わないですよね? 中国で本を買うような人たちは、全然日本のことが嫌いではないのではないでしょうか?
 それはその通りだと思います。反日で騒いでいる人たち、デモに参加するような人たちは、普段の生活が苦しいという不満をどこかにぶつけたくて暴れているだけで、たしかに感情的なはけ口として日本に八つ当たっているなら感情的にも日本のことは嫌いなんでしょうけど、しかしそれは本質的な反日ではなく、都市部で一定レベル以上、どちらかというと富裕層に近いような水準の生活を送っている人々はデモなんて参加しないし反日にも別に興味が無いよ、ということを最近見たニュース番組の特集で現地中国人の方が自ら話していました。スタジオゲストのトラブル孫悟空こと周さんもそう言っていました。
 僕の三国志男も中国のtwitterのような位置づけ「微博」で話題になったらしく、光栄なことになかなかの売れ行きを誇っています。微博で話題になっているというのは中国人読者の方がわざわざメールをくださって教えてくれたことで、もし中国の若者がみんな日本のことを嫌いだったら、日本人の書いた本のことをtwitterで話題にするでしょうか? 日本人でも、反韓感情がものすごく強くて韓流スターや韓流ドラマをひたすら敵視する人たちがいるじゃないですか。そういう人は、韓国人が書いた本をtwitterなんかで良い意味で話題に出すことは無いと思うのです。
 結論としては、中国で反日反日と騒いでいる人たちは貧困層および人生や生活にものすごく不満のある一部の人たちで、まともな人は政治と文化をごっちゃにして日本のものはなにもかも嫌いなんて言うような愚かなことはしないようです、ということです。日本で反韓を叫び韓流ドラマをはじめ韓国のものとくればなにもかも毛嫌いして、たとえば「チョン」なんていう言葉を出して他国を攻撃する人がやはり貧困層もしくは友達がいなかったり人生に満足できない自信のない人たちであるというのと同じだと思います。本質的に嫌いというより、はけ口という意味合いがあるはずです。あくまで僕の個人的な意見ですが。なぜか反中ではなく反韓のことを例に出しましたが、中国のドラマや本やスターが日本に入ってくることがあまりないので、とりあえず韓国の話を出してみました。終わります。実はサクリョウというのは僕のことです。